熱帯アジアのラオスやタイでは、昆虫食が盛んであるが、その一環として糞虫食の習慣がある。なかでも大型糞虫類は、水牛の糞に依存しているが、水牛は乾季の水田などの雑草を食み、その場で糞をするが、その水田はコメを栽培する場としても存在している。これら一連の在り方は、水田や周辺環境と村落住民との間で里地生態系を形成しているといえる。一方国連機関のFAO は、環境問題・食糧問題の切り札として昆虫食を高く評価している。しかし近年、農業の機械化や駆虫剤の利用で、水田環境が大きく変化しており、そこに生息する大型糞虫類の生育に影響が及んでいると見られる。また近年、経済発展や農業の近代化により、村落住民の昆虫食の習慣など生活形態も変容しつつあるといわれている。このような中、水田環境の変化が大型糞虫類の生息環境に及ぼす影響、大型糞虫食と村落住民の生活形態の変容との関係性、そして大型糞虫類の生息環境の変化と村落住民の大型糞虫食との相互関係をの解明について研究を行っている。