沿革

九州大学熱帯農学研究センターは学内の各研究院とは独立した学内共同利用施設で、昭和50年(1975年)4月に「熱帯地域の農業及びこれに関する環境の基礎的研究を行うとともに、熱帯農学の研究を志向する学生及び研究者との交流・共同研究を通じて、熱帯農林業の発展に貢献する」ことを目的に設置されました。当初、助教授1名が配置され本学の兼任教官の協力を得て活動してきましたが、昭和63年(1988年)には、教授2名、助教授2名、助手2名に増員され、作物生産部門と地水環境保全部門とが創設されました。

 平成25年(2013年)4月には、国際開発部門が新設され、当部門には准教授1名が配置されました。また従来の作物生産部門は、熱帯作物環境部門と改称されました。

 熱帯・亜熱帯地域には地球規模の問題の多くが集約されています。森林の消失、半乾燥地の砂漠化、工業化に伴う農村地域の公害、生物多様性の消失などの環境問題や、不安定な作物生産、爆発的な人口増加とそれに伴う食糧の絶対的な不足などの難問は、熱帯・亜熱帯地域に偏在しています。しかし、発展途上国の多くは、この地域に位置しており、国際協力を必要としています。熱帯農学の問題は、人類共通の課題ともいえるでしょう。これら諸問題は、熱帯亜熱帯の国々とともに協力しあって我が国が解決しなければならない21世紀の大きな問題です。

 「熱帯農学」にはこれらの問題の解決に向けて、緑豊かな地球環境をも守り、同時に食糧生産を向上させるために「持続可能な農林業開発と環境の保全」をはかることが求められています。