研究内容 画像解析による閉鎖性水域アオコ発生現象の可視化・定量化 2023年1月11日 閉鎖性水域の富栄養化に伴う藍藻類の異常増殖現象に起因するアオコ現象は,景観,臭気,利水など様々な問題に影響を及ぼします.アオコを形成する藍藻類の動態については,光合成および呼吸のバランスにより能動的鉛直移動が可能なことや,早朝に表層に集積し日中に拡散することが報告されていますが,連続かつ長期的な観測および分析が困難なことから,気象変動等に対する長期的な応答特性については未解明な点が多いのが現状です.このため,水域管理者は常時水域を観察し,異常増殖の兆候が見られた場合,適宜対応しなければなりません.近年では,様々なニーズに応じた比較的安価なカメラの普及,またOpenCVに代表される画像処理・解析機能を有するオープンソースライブラリの高度化により,これまで困難であった野外現象の観測・解析が可能になりつつあることから,アオコ現象の観測への応用も期待できます. 水面に浮遊するアオコ 野外現象の連続画像を扱う場合,気象変動に伴う画像輝度変化などへの対応が必要になります.また,連続画像を用いて対象現象を定量化する場合,気象変動に応じた動的な閾値処理による二値化も必要になります.しかしながら,特に連続画像を対象とした動的閾値処理に関する研究事例は少なく,現状ではアオコ現象の長期モニタリングを可能とする手法は確立されていません.本研究では,閉鎖性水域に設置した固定点カメラにより取得した水面タイムラプス画像により,アオコ現象の長期時系列定量化を実現し,気象変動に対するアオコの応答を詳細に解明すること,また,アオコの流動軌跡をトレースすることによる水域流況解析を行い,水域内でのアオコの詳細分布を解明することを目的としています. 画像処理によるアオコの二値化 水面アオコ割合の長期時系列変化