絶滅危惧固有種ハマタマボウキの耐病性遺伝機構の解明と保全技術の開発

「ハマタマボウキ」は,世界で唯一我が国に自生するアスパラガス属固有種として知られており,絶滅危惧種に指定されている。この植物は,食用アスパラガスとの交雑が可能な事から有用遺伝資源として世界的に注目されているため,早急な保全対策が求められる。研究代表者らの先行研究では,ハマタマボウキに感染可能な複数種の植物病原菌類による新病害を記載している。また,研究代表者らの現地調査から,自然感染している発病株の病斑は局部的で,全身感染個体は少ないことから,自生地の野生株は,進化の過程で耐病性を獲得した可能性が示唆された。そこで,①代替宿主導入と環境ゲノム解析によるハマタマボウキ発病機構の解明,②種間雑種や雑種後代の利用による耐病性形質の遺伝的特性や耐病性の遺伝性の解明,および,③環境ゲノム解析による耐病株の繁殖特性の解明によって,自生地の繁殖環境や生態系に配慮した「保全シーズの創出」に関する研究を展開する。

ハマタマボウキの繁殖図と生態
自生地で見られるハマタマボウキの糸状菌病害