日本では、シイタケなどのキノコ類は、菌床培地と呼ばれる方法で生産されている。菌床培地は原料として、おが粉などの木質基材と小麦ふすまなどの栄養源などで構成されている。近年の健康志向や巣ごもり需要の高まりから、キノコ類の生産が増加とともにおが粉の消費量も増加している。おが粉の原料となる落葉広葉樹林は年々減少傾向にあるため、キノコの栽培に適したおが粉の供給不足を招く可能性が示唆される。さらに、菌床栽培後に排出される菌床培地(廃菌床)の処分の際に、焼却に必要な燃料等の高コスト化や焼却による温室効果ガスの発生が問題視されている。従って、木質基材に代わる有効な資材の利用が検討されて来たが、入手経路や供給量の問題から、実用的な資材のめどはたっていない。そこで、シュレッダーにかけた廃棄古紙を利用することによって、脱炭素社会の構築や地球環境保全に寄与するようなキノコ類の栽培技術の開発に挑戦する。